寄与分とは
寄与分とは、相続財産を増やしたり、維持の為に相続人が特別に貢献したと考えられる際に、その相続人が寄与した度合いに応じて相続分を多くすることです。
遺産相続が発生した際に、ある特定の相続人に対して寄与分が認められることがあります。
遺産相続の場合、通常、法定相続人には、法定相続分の通りに遺産分与されるのが基本です。
ただし、相続人の中には、被相続人の事業を無休で手伝ってきたという人もいれば、被相続人の為に介護を献身的に行ってきたという人もいるかもしれません。
そんな場合には、その貢献度を無視して法定相続分だけを分与するのは、後からトラブルに発展する可能性があります。
このようなケースの為に、遺産の増額、あるいは維持に貢献したと考えられる人に対して寄与分を認め、相続分を増やすことで相続に関する公平を図るのです。
ただし、寄与分の適用は、他の相続人に不満を抱かせる原因となり、寄与分を巡る争いが起こることも多いようです。
寄与分の形式
寄与分が認められるのは、共同相続人のみで、第三者には認められず、例えば、被相続人を介護していた介護職人や、仲の良い友人等は寄与分が認められないことになります。
どんな場合に認められるかというと、被相続人の相続人である娘が献身的に介護していた場合、または、息子が家業を無償で手伝っていたケースに対してです。
ただし、相続人の配偶者に関しては、相続人に該当しない為、基本的には寄与分は認められないと考えられます。
寄与分にはいくつか形式があり、家事従事型、金銭出資型、療養介護型、扶養型、財産管理型等があります。
家業従事型は、相続人が被相続人の家業を無給、または非常に少ないと考えられる給料で長期に渡って手伝ってきた場合です。
金銭出資型は、被相続人の為に、相続人が金銭を出資していた場合となり、被相続人が事業を立ち上げる時に援助した場合等が該当します。
療養介護型は、相続人によって、被相続人が介護療養を受けていた場合となり、このケースでは、相続人と被相続人の関係性によって、期待以上の介護が必要です。
わかりやすい例では、娘が仕事にも出ず、結婚もしないで母親の療養介護をしてきたケースでは、寄与分として認められます。
扶養型では、被相続人の生活の面倒を、相続人が見ていた場合に該当し、生活費を渡していたり、生活全般を世話していた場合にもこれに当たるケースです。
財産管理型とは、相続財産を相続人が管理して、増やしたり維持に貢献したケースとなります。
法定相続と寄与分の例
寄与分がある場合には、寄与分を認められた相続人が多くなるような分与計算が必要です。
例えば、遺産総額が3000万円で、子供4人が相続人で、長男の寄与分が1000万円だった場合には、遺産総額から寄与分を引き、みなし相続財産は2000万円となります。
これを兄弟4人で分割すると、各500万取得となりますが、長男には寄与分の1000万円がありますので、長男1500万円で、後の3人はそれぞれ500万円の分与となる計算です。